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人口が増えるアジア諸国と都市化の影響

(データの出所)世界銀行公表データから筆者作成

世界の人口は80億人を超え、その中でもアジアは人口密度と成長率の高さで注目を集めています。今回は、人口が増えている国々である、インド、インドネシア、フィリピン、パキスタン、バングラデシュ、ベトナム、カンボジアの7カ国に焦点を当て、それぞれの人口動態と都市化の影響について見てみます。

人口増加の背景

日本、中国、韓国では人口が減少していますが、人口が増えている国々では国民の年齢が若く、若年層の割合が高いことが特徴的です。人口維持に必要とされる合計特殊出生率(Total Fertility Rate)は2.1程度とされています。

インドやベトナムでは、この2.1を下回っているものの、親世代の人口が多ければ、出生率が多少低くとも人口が増えることがあります。しかし、日本のように低い出生率が長期間続くと、世代を超えて子供の数が減少し、人口が減っていくことになります。

以下では、各国の人口動態と都市化の影響を見ていきます。前回投稿に倣って、世界銀行のサイトから各国の人口動態グラフを以下転載します。

インド

(出所)https://www.populationpyramid.net/india/2023/から転載

人口:約14億人

年齢中央値:約29歳
合計特殊出生率:約2.0(2022年時点)

特徴:

  • 世界最大の人口:2023年に中国を抜き、世界一の人口大国となりました。
  • 若年層の多さ:年齢中央値が約29歳と若く、労働力人口が豊富です。
  • 急速な都市化:都市化率は約35%ですが、都市部の人口は増加傾向にあります。

都市化の影響

  • 経済成長の推進:都市部でのIT産業やサービス業の発展が経済成長を牽引しています。
  • インフラの課題:交通渋滞、住宅不足、水資源の枯渇など、都市インフラへの負担が増加しています。
  • 出生率の低下:都市化に伴い、教育や就業機会の増加により出生率が低下する傾向にあります。

インドネシア

(出所)https://www.populationpyramid.net/indonesia/2023/から転載

人口:約2.77億人

年齢中央値:約31歳
合計特殊出生率:約2.2(2022年時点)

特徴

  • 多民族国家:300以上の民族が存在し、多様な文化を持っています。
  • 都市化の進行:都市化率は約56%で、ジャカルタなどの大都市への人口集中が進んでいます。
  • 出生率の減少:経済発展に伴い、出生率が徐々に低下しています。

都市化の影響

  • 経済の多様化:製造業やサービス業の発展が都市部で進行しています。
  • 環境問題:都市化による森林伐採や大気汚染、水質汚染が深刻化しています。
  • 社会格差:都市と農村間での経済的・社会的格差が拡大しています。

フィリピン

(出所)https://www.populationpyramid.net/philippines/2023/から転載

人口:約1.1億人

年齢中央値:約24歳
合計特殊出生率:約2.7(2022年時点)

特徴

  • 高い出生率:東南アジアでもトップクラスの出生率を維持しています。
  • 急速な都市化:都市化率は約48%で、都市部への人口流入が増加しています。
  • 海外労働者の多さ:多くの国民が海外で働き、送金が国家収入の重要な部分を占めています。

都市化の影響

  • インフラ不足:都市部での住宅不足や交通渋滞が深刻です。
  • 貧困と社会問題:スラムの拡大や犯罪率の上昇などが課題となっています。
  • 出生率の低下:都市化に伴い、出生率が徐々に低下する傾向にあります。

パキスタン

(出所)https://www.populationpyramid.net/pakistan/2023/から転載

人口:約2.4億人

年齢中央値:約22歳
合計特殊出生率:約3.4(2022年時点)

特徴

  • 急速な人口増加:高い出生率により、人口が急増しています。
  • 都市化の進展:都市化率は約36%で、カラチやラホールなどへの人口集中が進んでいます。
  • 若年層の割合:人口の約60%が30歳以下です。

都市化の影響

  • 急速な人口流入:都市部での雇用創出が労働供給に追いついていません。
  • インフラの遅れ:電力供給や交通網の未整備が都市生活を困難にしています。
  • 出生率の変化:都市部では出生率が若干低下する傾向がありますが、全体的な影響は限定的です。

バングラデシュ

(出所)https://www.populationpyramid.net/bangladesh/2023/から転載

人口:約1.7億人

年齢中央値:約28歳
合計特殊出生率:約2.0(2022年時点)

特徴

  • 高い人口密度:国土面積に対して人口が多く、世界でも有数の人口密度です。
  • 都市化の加速:都市化率は約38%で、ダッカなどの都市部への人口流入が著しいです。
  • 出生率の低下:政府の家族計画政策により、出生率が減少しています。

都市化の影響

  • 経済成長の促進:都市部での繊維産業の発展が経済成長に寄与しています。
  • インフラへの負担:交通渋滞、住宅不足、水質汚染などが深刻な問題となっています。
  • 社会サービスの需要増加:教育や医療への需要が都市部で急増しています。

ベトナム

(出所)https://www.populationpyramid.net/viet-nam/2023/から転載

人口:約9800万人

年齢中央値:約32歳
合計特殊出生率:約2.0(2022年時点)

特徴

  • 人口増加率の安定:出生率の低下に伴い、人口増加率も徐々に低下し、安定化しつつあります。
  • 急速な都市化:都市化率は約38%で、ハノイやホーチミン市への人口集中が進んでいます。
  • 経済発展:製造業と輸出が経済を牽引しています。

都市化の影響

  • 中間層の拡大:都市部での経済活動が活発化し、生活水準が向上しています。
  • インフラ整備の課題:交通渋滞や大気汚染など、都市化による問題が顕在化しています。
  • 出生率のさらなる低下:都市化に伴い、出生率がさらに低下する可能性があります。

カンボジア

(出所)https://www.populationpyramid.net/cambodia/2023/から転載

人口:約1700万人

年齢中央値:約26歳
合計特殊出生率:約2.3(2022年時点)

特徴

  • 若年人口の多さ:年齢中央値が約26歳と若いです。
  • 都市化の進行:都市化率は約24%で、プノンペンへの人口集中が進んでいます。
  • 経済発展の遅れ:内戦の影響で、経済発展が他国に比べて遅れています。

都市化の影響

  • 経済活動の活性化:都市部での投資増加により、建設業やサービス業が発展しています。
  • インフラ不足:教育、医療、交通などの基礎的インフラが未整備です。
  • 出生率の変化:都市化が進むにつれ、出生率の低下が見られます。

結論

これらの国々では、若年層の多さと人口増加が共通の特徴であり、都市化が急速に進行しています。都市化は経済発展の原動力となる一方で、以下のような課題も生じさせます。

  • インフラ不足:交通、住宅、水道、電力などのインフラ整備が追いついていません。
  • 環境問題:大気汚染、水質汚染、廃棄物処理など、環境への負荷が増大しています。
  • 社会格差の拡大:都市と農村間、都市内での所得格差が広がっています。
  • 出生率の低下:都市化は一般的に出生率の低下要因となり、長期的な人口動態に影響を与える可能性があります。

持続可能な発展を実現するためには、都市化に伴う課題に対処し、以下の分野での政策強化が必要です。

  • 教育と医療の充実:質の高い教育や医療サービスへのアクセスを改善する。
  • 環境保護:持続可能な環境政策を導入し、環境負荷を軽減する。
  • インフラ整備:交通網やエネルギー供給、水資源管理などのインフラを強化する。
  • 社会福祉の拡充:社会格差を是正し、全ての人々が恩恵を受けられる社会を目指す。

日本はどうする?

人口動態と都市化は、国の未来を左右する重要な要素です。今回取り上げたアジアの他国と比較すると、日本は超高齢社会であり、合計特殊出生率が約1.3(2022年時点)と低く、地方の衰退や人口減少が深刻な課題となっています。

日本の現状と課題

  • 少子高齢化:高齢者(65歳以上)の割合が約29%と世界でも突出しています。
  • 労働力不足:若年層の減少により、労働力不足が経済成長の妨げとなっています。
  • 地方の過疎化:都市部への人口集中により、地方の人口減少と経済停滞が進んでいます。

対策と展望

  • 女性の労働参加率の向上:かつて「M字型」と呼ばれた女性の年齢別労働参加率(結婚・出産期に就業率が低下する形)が改善されつつあります。さらなる環境整備が必要です。
  • 高齢者の活躍推進:シニア世代の労働参加を促進し、経験を活かす取り組みが求められます。
  • 生産性の向上:技術革新や働き方改革により、一人当たりの生産性を高めることが重要です。
  • 地方創生:地方の魅力を高め、人口定着や移住を促進する政策が必要です。

今後の展望

日本は、他国とは異なる人口減少社会に直面していますが、この課題を乗り越えるための取り組みが進められています。例えば、子育て支援の強化、働き方改革、移民政策の見直しなどが議論されています。

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