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少子高齢化が進む日本:高齢者労働力の可能性

(データの出所)世界銀行

日本は、少子高齢化の進行で生産年齢(15-64歳)人口の減少が続いています。しかし、2022年、2023年には労働力人口(Labor force, total)が若干増えています。これは、65歳以上の高齢者や(生産年齢の)女性の労働参加が増えているためです。ただし、65歳以上の労働参加率「(就労者+完全失業者)/当該年齢人口」の上昇は近年鈍化してきています。

生産年齢人口の減少が止まらないなか深刻化する労働力不足を緩和するためには、高齢者の労働参加をさらに促進する取り組みが不可欠です(労働政策研究・研修機構「国際労働比較2024」によると、2022年時点で65歳以上就業者は912万人で全年齢就業者6,723万人の約13.5%)。ここでは、高齢者労働力の現状と可能性、そして課題について、ポイントを簡潔に列挙します。

健康寿命と平均寿命の国際比較

2019 順位国名健康寿命(年)平均寿命(年)差(年)
1日本74.184.310.2
2シンガポール73.683.229.62
3スイス72.583.410.9
4スペイン72.183.211.1
5イタリア71.983.011.1
(データの出所)世界保健機関(WHO)「World Health Statistics 2022

2022年も、日本人の平均寿命(0歳児の平均余命)は84.6歳、健康寿命(健康上の問題なく生活できる年齢)が72.1歳と、世界トップクラスです。しかし、他の長寿国と同様に、平均寿命と健康寿命のギャップが約10年あります。このギャップを縮めることが、高齢者が健康を保ちながら長く働ける社会を実現する鍵となります。

高齢者労働参加率の国際比較

各国では年金制度の持続可能性を高めるために改革が進められています。日本でも、年金受給開始年齢の引き上げや在職老齢年金制度の見直しが行われ、高齢者が働き続けるためのインセンティブが強化されています。

国際比較:

  • 日本:高齢者の就労促進策が成果を上げ、65歳以上の労働参加率は世界的にも高く26%近くまで上昇しましたが、2019年以降、その伸びは鈍化しています。

(データの出所)世界銀行

  • アメリカ:年齢差別禁止法(The Age Discrimination in Employment Act, 1967)により、高齢者の雇用機会を保護する同国では、2022年の65歳以上の労働参加率は約19%で、高齢になっても働き続ける文化が根付いています。
  • ドイツ:年金支給開始年齢の引上げが影響して近年大幅に上昇し、約19%になっています。

リスキリングと高齢者の労働力活用

テクノロジーの進化や産業構造の変化により、必要とされるスキルは急速に変化しています。高齢者が労働市場で活躍し続けるためには、リスキリング(新しい技能の習得)が不可欠です。

国際比較

  • ドイツ:職業教育訓練制度が充実しており、高齢者も再教育を受けやすい環境が整っています。
  • フィンランド:生涯学習の文化が根付いており、高齢者も積極的に教育機会を活用しています。

日本でも、高齢者向けの職業訓練や教育プログラムの拡充が求められ、高齢者の労働力価値を高める取り組みが重要です。

高齢者雇用のメリットと課題

高齢者を労働力として活用することで、彼らの豊富な経験や知識を通じて、若手の育成や組織の安定に寄与するなど多くのメリットがあります。しかし、体力や健康面、デジタル技術への適応といった課題も同時に存在します。

シニア起業の現状と課題

少子高齢化が進む日本において、シニア起業も新たな可能性として注目されています。豊富な経験や専門知識を持つ高齢者が、起業を通じて社会貢献しながら生きがいを見出す動きが活発化しており、定年退職後に起業を選ぶ人も増加しています。中小企業庁によれば、起業者全体に占める60歳以上の割合は年々増加しており、高齢者のスキルと知識が日本経済の新たなエンジンとなりつつあります。

海外の動向:

  • アメリカ起業が盛んなアメリカでは 55歳以上の起業家が全体の約25%を占め、SBA(Small Business Administration)による支援が行われています。私事になりますが、当時人口7000人ほどの町に所在する大学が運営するインキュベーションセンターで、2012年に筆者はオフィスを借りて半年間お世話になったことがあります。多様な年齢のスモールビジネスオーナーがそこのビジネスインフラを共有していました。そのインキュベーションセンターの管理運営者はその大学の教員でもあり、大学で起業論の授業も担当されていました。
  • イギリス: 「シニアプリナー」と呼ばれる高齢起業家が増加し、政府やNPOによる支援が活発です。
  • ドイツ: コンサルタントやフリーランスとして活躍する高齢者が多く見られます。
  • シンガポール: 生涯学習と起業支援を組み合わせたプログラムが、高齢者のビジネス参入を後押ししています。

シニア起業は、個々の高齢者の自己実現にとどまらず、社会全体の活力向上にもつながります。政府や企業が高齢者の起業を支援することで、新たなイノベーションが期待されます。

まとめ

高齢者の労働参加率の向上や健康寿命の延伸、リスキリングの推進、起業支援は、少子高齢社会における共通の課題です。超高齢社会となった日本は、他国の成功事例を参考にしつつ、独自の社会構造や文化に合わせた施策を進めることが求められています。

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