アクティブ運用は、パッシブ運用(インデックス運用)に運用成績で劣る場合が多いと言われます。インデックスに勝てないという現象について、機関投資家と個人投資家のそれぞれの事情について紹介します。
インデックスは「他の投資家の平均成績」でもある
まず確認すべきは、「インデックスに勝つ」とは何を意味するのかという点です。
すべての投資家が所有する株式=市場全体の株式
なので、単純化のため配当収入を捨象すると、
市場全体の株式の値動き = すべての投資家が所有する株式の値動き = すべての投資家の運用成績の加重平均
となります。このように、インデックスは単なる「ベンチマーク」ではなく、そのパフォーマンス(値動き)は投資家全体の運用成績の平均でもあります。
したがって、インデックスに勝ち続けるということは、市場参加者全体の平均よりも、継続して優れたパフォーマンスを出し続けることを意味します。つまり、他の投資家より相対的に常に「上手」であり続けなければならないということです。インデックスに常に勝とうとする投資家にとっては、このことは非常に厳しい要求です。
さらに、投資には手数料や税金などの「コスト」が存在するため、これらを差し引いた後の実質リターンでは、市場平均を超えるのは一層難しくなります。
機関投資家がインデックスに勝てない理由
評価期間が短期に固定される
機関投資家は、四半期や年単位で顧客・上司から成果を評価されます。そのため、本来は長期視点で有効な戦略であっても、短期的な下振れリスクを嫌って採用できないという制約があります。
ベンチマークとの乖離が許容されない
多くの機関投資家の運用成績は、TOPIXやS&P500をベンチマークとして設定されています。このベンチマークを下回ると顧客離れを招くため、ポートフォリオがベンチマークに類似しがちであり、結果として「インデックス並みの成績」に収束します。
巨額資金による流動性制約
機関投資家は、数百億円から兆円単位の資産を動かす必要があります。
そのため、小型株や流動性の低い銘柄に自由に投資することが困難です。
例えば、取引量が少ない小型株で機関投資家が大口の買い注文を入れると、その注文によって価格が上昇してしまいます。このように、自分の注文によって自分に不利な状況を招くため、機関投資家は小型株に参戦しにくい事情があります。その結果、市場の平均的なパフォーマンスから逸脱する戦略が取りにくいのです。
個人投資家がインデックスに勝てない理由
情報格差と分析力の差
機関投資家が利用できる専門的な情報、アナリストの分析、企業との接点などを個人投資家は持ちません。そのため、判断材料の質と量で不利な立場にあります。
感情に基づく非合理的行動
多くの個人投資家は、恐怖や欲望に基づいた売買を行い、高値掴み・安値売りなど、逆効果の行動を取りやすいです。
投資戦略の一貫性が欠如
流行や短期の値動きに影響されやすく、ルールを設定しても自らそれを破ってしまうケースが多くあります。そのため、結果的に長期的な成績が安定しません。
想定時間軸の違い
機関投資家と個人投資家とで、想定時間軸の違いを整理すると以下のようになります。
| 投資家区分 | 想定時間軸 | 実際の運用傾向 |
|---|---|---|
| 機関投資家 | 長期(年単位) | 実質は四半期〜年単位の短期評価 |
| 個人投資家 | 自由に設定可能 | 長期志向でも、実際には短期行動が多い |
機関投資家は名目的には長期投資ですが、実務上は短期の成果に追われるため、長期戦略を実行できる環境にありません。
一方、個人投資家は運用時間軸の自由がありますが、短期的な値動きに過剰反応する傾向があり、自らその利点(真に長期投資が可能であること)を手放してしまう場合も少なくありません。
例外としての可能性 ― ルールを守る個人投資家
もっとも、例外的にインデックスを上回る成果を残す投資家も存在します。代表的な例がウォーレン・バフェットです(https://en.wikipedia.org/wiki/The_Superinvestors_of_Graham-and-Doddsville)。成功した投資家に共通する特徴は、投資ルールを明確に定め、それを一貫して守り抜く規律的な姿勢にあります。
個人投資家は機関投資家のように評価期間や運用制約に縛られないため、自由な時間軸を設定できるという利点があります。また、小型株といった投資対象も柔軟に選択できます。
こうした自由度を活かしつつ、自ら定めたルールを厳格に守り続けることができれば、インデックスを超える成果を実現する可能性があります。


