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なぜ「体感インフレ」はCPIより高く感じるのか──帰属家賃と生活必需品の価格構造から読み解く

ニュースで報じられる消費者物価指数(CPI)の上昇率は、ここ最近2〜3%台で推移しています(2025年10月前年同月比3.0%)。「インフレは落ち着いてきた」という論調さえ聞こえてきますが、スーパーで買い物をする際、あるいは家計簿を見直す際、その数字に納得できる人はどれだけいるでしょうか。

「生活実感としてはもっと上がっている気がする」

この感覚は、決して気のせいではありません。むしろ、我々の肌感覚の方が、公表されているCPI総合指数よりも、「家計の購買力」という現実を正確に捉えている可能性が高いです。

今回は、総務省の統計データから、なぜ公表値と実感値に大きな乖離が生まれるのか、その構造的な「からくり」を確認します。

1. CPIを押し下げる最大要因は「帰属家賃」と「教育費」

CPI(消費者物価指数)は、家計が購入するモノ・サービスの平均的な価格変化を示す指標ですが、
その中には 実際の支出を伴わない項目 があります。

その代表が 帰属家賃 です。

  • 帰属家賃とは、持ち家の人が“もし賃貸したら支払うであろう家賃”
  • 実際にはお金が動かない
  • しかし、そのウェイトは2020年基準の消費バスケットのうち約16%も占めます。

この帰属家賃の上昇率がほぼ横ばい(同0.6%)のため、
CPI総合を強く押し下げ、生活実感から乖離させる要因 になっています。

同様に、2024〜2025年にかけては、
授業料の値下げ(政策要因) が教育費(消費バスケットの3%)をマイナス(同-9.6%)にし、総合CPIを押し下げました。しかし、教育費はすべての家計にかかる費用ではありません。

2. 一方で、日常生活で頻繁に買う品目ほど大きく値上がっている

どの家計でも支出機会が頻繁な、

  • 食料(ウエイト26%、2025年10月前年同月比6.4%)
  • 外食(同4.6%、同4.3%)
  • 電気代(同3.4%、同3.5%)
  • 家事用消耗品(同1.1%、同4.0%)

これらは総合よりはるかに高い伸びです。

特に食品が体感インフレを直接押し上げています。

結果として、

体感インフレ = 生活必需品の価格上昇
公表CPI = 帰属家賃・教育費で押し下げられた平均値

という構造になっているため、
体感インフレが高くて当然なのです。

3. 帰属家賃・教育費を除いた“実感インフレ率”はどうなるか

そこで、2025年10月のCPIデータを用いて帰属家賃+教育費除くベースを独自に計算してみました。

  • 総合CPI:+3.0%(前年同月比、以下同)
  • 帰属家賃除く総合:+3.4%
  • 帰属家賃+教育費除くベース:+3.8%

つまり、

生活実感に近いインフレ率は、総合CPIより0.8ポイント高い

という結果になります。

グラフ:消費者物価指数前年同月比

(データの出所)総務省「消費者物価指数

4. まとめ

  • CPIは帰属家賃などのために低めに出る
  • 日常生活で買う品目ほど上昇率が高い
  • したがって体感インフレが高く感じるのは“構造的に当然”

次回は、この物価上昇を引き起こす 外的要因(国際価格・円安)と労働人口要因 を整理します。そして次々回は、この要因が前回確認した労働分配率の低下にどう関係しているかを考察します。

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