予想EPS
一般に株価は、将来受け取る1株当たり予想配当の割引現在価値の合計とされます。そして、その配当の原資となるのが1株当たり予想利益(EPS)です。したがって、EPSに影響を及ぼすすべての要因が、間接的に現在の株価に反映されると考えられます。
なお、予想EPSは決算発表時に企業自身やアナリストが将来の見通しとして公表する数値であり、「予想値」とはいえ、公表された時点で株価に織り込まれるため、過去の情報です。
労働生産性や営業利益率の向上などもEPSに影響を与えます。これらの予想の集約がEPSであり、現在の株価はそれを反映しているとみなされます。そのため、実際の業績が予想どおりであれば株価は変化せず、予想が修正された場合に株価が変動します。
高成長と株式投資収益率は必ずしも相関しない
株式投資の長期的優位性を200年超のデータで実証したアメリカの金融学者ジェレミー・シーゲルの著作(Stocks for the Long Run〔邦訳『株式投資 第6版 長期投資で成功するための完全ガイド』〕および The Future for Investors〔邦訳『株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす』〕)をはじめ、多くの実証研究において「経済成長率の高さと株式リターンは長期的にみて必ずしも相関しない、むしろ逆相関の傾向が観察されるケースもある」と指摘されています。
例えば、Andy氏のブログ Global stock markets performance comparison over the past 30 years in a table においても、経済成長率と株式投資収益率の間に明確な相関は確認されません。
この背景として、以下のような理由が考えられます。
- 企業利益とGDP成長率の乖離
GDP成長率は国全体の付加価値の伸びを示しますが、株価を左右するのは「上場企業の利益」です。上場企業は海外でも利益を稼ぐため、国内GDPの伸びと必ずしも連動しません。逆に、国内成長が高くても、それが非上場企業や政府支出によるものであれば、株価には直接反映されない場合があります。 - 株価は「期待との差」に反応
効率的な市場では「この国は高成長だろう」という予想があったとしても、その予想は既に株価に織り込まれています。そのため、予想どおりに経済が高成長となっても、株価は上がらないことがあります。株価が上昇するのは「予想を上回った成長」や「予想外の好業績」が出たときです。
市場参加者の情報感応度
入手可能な情報のすべてが株価に織り込まれていたとしても、他の投資家がまだ認識していない情報をいち早く察知し、“予想”の修正を先取りできれば、その投資家は利益を上げる可能性があります。
この場合、他の投資家の情報感度(情報収集力や分析力)の高低が重要になります。
- 大型株:時価総額が大きく、プロの機関投資家が参戦しているため、個人投資家が他の投資家を出し抜くのは難しく、市場はより効率的になります。
- 中小型株:機関投資家の参戦が相対的に少ないため、市場参加者の情報感度が低い場合があり、効率性が相対的に低い場合があります。
アクティブ運用の意義
市場が完全に効率的であれば、市場平均以上の収益を上げることは理論的に不可能です。しかし、実際には市場が情報を即座に織り込まず、時間をかけて修正することがあります。その間に先んじて行動できれば、市場平均を上回る利益を得ることが可能です。これがアクティブ運用の意義です。
アクティブ運用は バリュー株投資 と グロース株投資 とに大別されます。
- バリュー株投資:割安に放置されている銘柄に逆張りで投資し、やがて市場が正当に評価することを期待する。低PBR(資産バリュー)や低PER(収益バリュー)の銘柄が対象。
- グロース株投資:業績の上方修正に市場が過剰反応して上値を更新している銘柄に便乗し、順張りで投資する。
市場がいつも誤るわけではないため、アクティブ運用が常に有効とは限りません。ただし、機関投資家の関与が相対的に少ない中小型株市場では、アクティブ投資の有効性が比較的高いとされます。
アクティブ投資を行う際には、配当利回り、PER、PBRなどの指標が割安性を測る尺度として利用されます。


