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「世の中のお金」を動かすには?–経済を再起動する『眠れる資産』への課税という新発想

  • 「がんばって働いても、税金でかなり引かれる…」
  • 「買い物をしたら、10%も消費税がかかる…」
  • 「親から資産を受け継ぐにも、高い税金が…」

こんな風に感じたことはありませんか? 今の日本の税金は、「働く」「使う」「譲る」といった、経済を動かす前向きなアクションにブレーキをかけているように思えます。

もし、このブレーキを外せたら?

そして、経済の隅で「眠っている資産やお金」に、社会のために動いてもらう仕組みを作れたら?

日本経済を再起動させる、そんなアイデアを紹介します。

今の税金は「経済活動」へのペナルティ?

私たちの生活に深く関わる3つの主要な税金について、少し違う角度から見てみましょう。

  • 所得税・住民税: 働くこと、つまり「労働」への課税です。収入が増えるほど負担が重くなり、働く意欲を削いでしまう側面があります。
  • 消費税: モノやサービスを買うこと、つまり「消費」への課税です。消費は経済の血液ですが、消費税はこの血液の流れを少し悪くしてしまいます。
  • 相続税・贈与税: 資産を他の人に引き継ぐこと、つまり「資産の移転」への課税です。これにより、資産が市場で活用されにくくなったり、円滑な事業承継の妨げになったりすることがあります。

これらはいわば「経済活動へのペナルティ」。これでは、経済活動が停滞してしまうのも無理はありません。

主役交代!カギは『眠れる資産』への課税

そこで提案したいのが、税金の主役をガラリと変えることです。

ペナルティの対象を「経済活動」から「活用されずに眠っている資産(休眠資産)」へとシフトさせるのです。

これは、資産を持っていること自体を罰するものではありません。「資産を社会や経済のために活用せず、ただ滞留させている状態」に、ごく軽いコスト(税金)を持たせるという考え方です。

具体的にはどんな税金?

日本の家計金融資産は約2,100兆円。そのうち半分以上が現預金として眠っているのをご存じでしょうか。OECD諸国と比べても、日本は突出して「お金を動かさない国」です。そこで…

  1. 金融資産課税(高額控除付き): 個人の巨大な預貯金など、投資や消費に回っていない金融資産に低率で課税します。ただし、例えば「◯◯万円を超える部分にのみ」といった控除額を設け、一般の国民には影響が出ないようにします。※名前が似ているものとして金融所得税がありますが、これは利子・配当・売却益といった「収益」に対する課税であって、金融資産の保有残高に課税する金融資産税とは全く別の性格です。金融資産税は日本ではこれまで制度化されたことはありません。
  2. 固定資産税の見直し(空き家など): 利用されていない空き家や更地など、「活用されていない不動産」への課税を少し強化します。これにより、売却や賃貸に出すインセンティブが生まれ、不動産市場が活性化します。
  3. 企業の内部留保への課税: 企業が内部留保としてため込みすぎている現預金に対し、賃上げや設備投資を促す形での課税を検討します。

この税制シフトの最大の目的は、税収を増やすこと以上に、眠っている資産に「動く」きっかけを与えることです。「少しでもコストがかかるなら、投資しよう、消費しよう、社員の給料を上げよう」というインセンティブを生み出し、お金の循環を劇的に改善するでしょう。

海外の事例に学ぶ

実は海外でも似たような試みが行われています。

  • フランスでは1989年に「富裕税(ISF)」が導入され、資産を抱え込むことに一定の負担を与えました。ただし、資産家が課税逃れのために国外へ資産や居住を移すことが問題になり、2017年に不動産(移動困難な資産)に限定した「不動産資産税(ISI)」に改められました。
  • アメリカでは近年、カリフォルニア州やニューヨーク市で、「空き家税」「未利用不動産への課税」案が取り上げられています。

こうした政策は賛否両論ありますが、共通しているのは「資産やお金を動かさなければ経済が回らない」という認識です。

NISAが持つ本当の力

「眠れる資産」への課税は、いわばお金を押し出す「プッシュ(Push)型」の政策です。しかし、押し出されたお金の受け皿がなければ、そのお金はまた滞留してしまうかもしれません。

そこで登場するのが、NISA(少額投資非課税制度)です。

NISAは、眠っていたお金を市場に引き込む、「プル(Pull)型」の政策であると考えることができます。

休眠資産への課税によって「さあ、このお金をどうしよう?」と考え始めた人々の目の前に、「NISAなら非課税で効率的に投資できますよ!」という最高の受け皿が用意されている。この組み合わせが、強力な相乗効果を生み出します。

  • 休眠資産への課税: お金を「休眠資産」や「貯蓄」から押し出す
  • NISA: そのお金を「投資」へと引き込む

この「プッシュ&プル戦略」によって、これまで一部の人々のもとに滞留していた膨大な資金が、成長企業や新しい技術へと流れ込み、日本経済全体の活力を生み出すのです。

新しい税制が創る、もっとワクワクする社会

この税制シフトが実現すれば、私たちの社会はこう変わるかもしれません。

  • 個人: 働くこと、消費することへの税負担が軽くなり、日々の生活に活気が出る。NISAを通じて、誰もが経済成長の果実を受け取れるようになる。
  • 企業: 内部留保を現預金としてため込むより、未来への投資や人材への投資(賃上げ)を選ぶようになる。結果として、企業の競争力が高まる。NISAを契機に国民の証券投資が活発化することにより、設備投資のための資金調達も容易になる。
  • 経済全体: お金の循環が良くなり、デフレマインドから脱却。新しいチャレンジをする人や企業が増え、社会全体がダイナミックになる。

もちろん、これは簡単な改革ではありません。資産価値をどう評価するのか、海外への資産逃避をどう防ぐかなど、検討すべきポイントは多々あります。

しかし、「がんばる人が報われ、お金がきちんと社会を巡る」。そんな当たり前で、もっとワクワクする経済を目指すために、税金のあり方を根本から見直す議論を始めても良いのではないでしょうか。あるいは既に始まっているかもしれません。減税やバラ撒きだけでは相変わらずデフレ脳のままです。

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