
(データの出所)米セントルイス連銀https://fred.stlouisfed.org/
今回は、中国、日本、韓国、アメリカ、そして世界全体の視点から、少子高齢化や人口動態を網羅的に見てみます。
各国とも高齢化が進み、また、中国、日本、韓国は人口が既にピークアウトするとともに、高齢者人口が増えることに伴う様々な課題が見えてきます。
中国の人口動態と課題

(出所)https://www.populationpyramid.net/china/2023/から転載
中国では、1979年から2015年まで「一人っ子政策」が実施され、人口増加が人為的に抑制されました。この政策により、合計特殊出生率(女性一人が生涯に産む平均子ども数)は1979年の約2.75から2022年には約1.18にまで低下しました。
現在の状況:
- 人口のピークアウト:2023年の統計によれば、2022年に中国の人口は約85万人減少し、人口がピークを過ぎたと考えられています。
- 少子高齢化:出生率の低下と平均寿命の延伸により、高齢者の割合が増加しています。
- 男女比の不均衡:一人っ子政策下で男児が優先された結果、男女比が偏っています。
対応策:
中国政府は現在、二人っ子政策や三人っ子政策へと緩和し、出生率の向上を図っています。しかし、都市化や生活コストの上昇などが出生率の回復を妨げています。
日本の人口動態と課題

(出所)https://www.populationpyramid.net/japan/2023/から転載
日本では、2008年をピークに人口減少が続いています。合計特殊出生率は2022年時点で1.26まで低下し、少子高齢化が深刻な問題となっています。
現在の状況:
- 超高齢社会:65歳以上の高齢者が全人口の約29%を占めています。なお、全人口に占める65歳以上人口の割合が7%以上を高齢化社会、同14%以上を高齢社会、同21%以上を超高齢社会とよびます。超高齢社会となっている国は日本のほか、イタリア(23%)、ドイツ(22%)、フィンランド(22%)、ポルトガル(22%)、ギリシャ(22%)、ブルガリア(21%)、フランス(21%)、スウェーデン(21%)があります。
- 労働力不足:若年人口の減少により、経済成長や社会保障制度に影響が出ています。また、長らく停滞していた物価ですが、今後は賃金上昇を通じ物価上昇圧力にもなっていくと考えられます。
- 未婚化・晩婚化:結婚や出産に対する価値観の多様化が進み、未婚率や晩婚化が出生率低下の一因となっています。
対応策:
日本政府は子育て支援、働き方改革、教育費の負担軽減などを進めていますが、出生率の大幅な改善には至っていません。
韓国の人口動態と課題

(出所)https://www.populationpyramid.net/republic-of-korea/2023/から転載
韓国も同様に少子高齢化に直面していますが、その深刻度はさらに高いです。2022年の合計特殊出生率は0.78と、香港(0.70)に次いで低い水準となりました。
現在の状況:
- 人口のピークアウト:2020年頃に人口がピークに達し、その後減少に転じています。
- 高齢化の加速:2025年までに高齢者割合が20%を超える超高齢社会に突入すると予測されています。
- 経済的負担:高い教育費、住宅価格の高騰、若者の高失業率が出産をためらう要因となっています。
対応策:
韓国政府は子育て支援、住宅支援、雇用対策など様々な少子化対策を講じていますが、効果は限定的です。社会全体での意識改革と新たな政策アプローチが求められています。
アメリカの人口動態と特徴

(出所)https://www.populationpyramid.net/united-states-of-america/2023/から転載
アメリカは、中国、日本、韓国とは異なる人口動態を示しています。合計特殊出生率は約1.7〜1.8と低下傾向にありますが、移民の受け入れによって人口増加を維持しています。
現在の状況:
- 人口増加:2023年時点で約3億3,000万人の人口を有し、依然として増加傾向にあります。
- 多様な社会:ヒスパニック系やアフリカ系など一部のコミュニティで出生率が高く、文化的背景による出生率の差異が存在します。
- 高齢化の緩やかさ:高齢化の進行は比較的緩やかで、社会保障制度への負担も相対的に小さいです。
課題と対応策:
移民政策が人口動態に大きな影響を与えており、その持続可能性や社会統合が今後の課題となっています。また、医療費の高騰や社会保障制度の不備など、高齢化に伴う社会的課題も存在します。
世界全体の人口動態と課題
世界人口の増加と人口成長率の低下
- 人口増加:2022年に世界人口は80億人に達しました。
- 成長率の低下:1960年代後半の年間約2%から、2020年には約1%未満に低下しています。
出生率の低下と地域差
- 世界平均の合計特殊出生率:1950年代には5.0以上でしたが、2020年には約2.4に減少しています。
- 地域差:
- 先進国:多くの国で出生率が人口維持に必要とされる2.1を下回り、人口維持が困難です。
- 途上国:サハラ以南のアフリカなどでは出生率が4.0以上と高水準を維持しています。
高齢化社会の進行
- 世界全体の高齢化:65歳以上の人口割合は2020年の約9%から、2050年までに約16%に達すると予測されています(国際連合『世界人口推計2022年版』)。
総合的な課題
世界の人口動態は地域によって大きく異なり、それぞれの国や地域が独自の課題に直面しています。少子高齢化が進む国では、労働力不足や社会保障制度への負担増加が懸念され、高い出生率を維持する国では、教育や雇用、医療などのインフラ整備が課題となっています。
各国の対応策:
- 出生率向上策:育児休業の充実、保育サービスの拡大、教育費の補助など。
- 高齢化対策:年金制度の改革、医療・介護サービスの強化、健康寿命の延伸。
- 移民政策の見直し:労働力不足を補うための移民受け入れや難民支援の強化。
- 持続可能な開発目標(SDGs)の推進:貧困や飢餓の撲滅、教育機会の拡充、ジェンダー平等の実現。
- 環境対策:資源の持続可能な利用、気候変動への対策、都市環境の改善。
より詳しく:
人口動態について、World Population Review(英語サイト)も参考になります。世界地図上の該当する国をクリックすると、2024年時点の各国の状況(推計値)も都市別にわかります。一見の価値あり。


